ねじまき士クロニクル

名もない整備士のつぶやき

池上彰化? ジャーナリズムの現場から

 福島原発を扱ったノンフィクションで大鹿靖明というジャーナリストを知りました。そしてその著者の他の作品にも興味を持ち「ジャーナリズムの現場から」という本も読みました。ジャーナリストがジャーナリストにインタビューを行った本です。

 その中の一人が世のジャーナリズムを嘆いています。

 いまのジャーナリズムを覆っているのは、わかりやすいニュース解説を求める「池上彰」化ですよ。

池上さん自身の功績は大いにあると思いますが、あまりにそればっかりだと読者のリテラシーが一向にあがってこない。それどころか今の読み手は、書き手に対して「もっとわかりやすく解説してくれ」とか「どうすればいいのか答えを教えて欲しい」と求めてばかりいるようになってしまう。かつての読み手はもっと向上心、向学心をもって書物に触れていたと思います。

 ビジネス書で売れているのは、企業のインサイドストーリーではなくて、自己啓発本やハウツー本ばかりです。

 

 誰かに何かをわかりやすく説明してもらえるのはありがたいことかもしれませんが。わかりいにくいものをわかりにくいままそのまま許容する姿勢も忘れてはならないと私は思います。もちろん私はジャーナリストではなく汗と油にまみれる整備士ですが…それでも教養は大切だと考えています。色んな本を読むひまがあったらサービスマニュアルでも読めばいいのかもしれませんが…いやいやながらも空いた時間で自動車関係の書物も読んでいるのでそちらは大丈夫です。そして他の分野にも首を突っ込みます。

 中学生のころ、社会科の先生は休み明けの月曜日の授業で池上彰氏の「週間こどもニュース」を決まって教材に使っていました。宗教の問題に関して解説していたような気もします。中学生のころは確かに分かりやすいニュースの解説だと思っていました。しかし、なぜかはわかりませんが、大人になってからは池上彰をジャーナリストとしては信用していません。申し訳ないですが。おそらく私は池上彰氏が書いた本の中にはないことを知りたいタイプの人間なのでしょう。

 現在、アマゾンで「池上彰」と検索するとおびただしい数の検索結果が出てきます。分野は幅広く、政治、宗教、経済、原子力、歴史、国内、海外。あたかも世の中のすべての問題とその解決方法を知っているかのようです。1人の人間がそれらの分野を網羅することはできるのでしょうか?私には想像もできません。

 そのインタビュイーはこうも言っています。

「読者が求めているものだけを提供するのは娯楽・エンターテイメントだ。読者が必ずしも望んでいないものでも、社会的に必要があれば提示するのが僕らジャーナリズムの役割だ」

 難しいことをそのまま池上彰フィルターを通さずに知る事もまた社会の責任の一つなのかもしれません。

 

 このインタビュー集の中で堀川恵子氏の作品だけ読んだことがありました。名前を見た瞬間そうかなと思いましたがそうでした。広島出身の方で「原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年」という作品を書いています。原爆後の遺骨たちがどのように扱われたのかがわかります。広島の人なら…もしかしたら似島に行きたくなるかもしれません。意外と広島の人でも行ったことがない人が多いはず…?沖野さんが多い島です?

 10人のインタビュイーの中で1人だけまったく共感できない、本当にジャーナリストかと疑ってしまうような人もいましたが…それも含めてジャーナリズムなのかも。報道に興味のある人は手に取ってみてもいいかもしれません。報道に関係のない人には…

 

 

 

原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

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