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ホセ・ムヒカ 質素な大統領

 パラダイス文書に関わる鳩山由紀夫元首相の報道を受けて、なぜか対極にあると言ってもいい1人の政治家が頭に浮かんできてしまいました。鳩山由紀夫に関連して大富豪のトランプ大統領について調べればよかったのかもしれませんが、逆に今さらながらホセ・ムヒカについての本を読みました。選んだ本はアマゾンプライムで無料だった『世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉』です。

 

 別にこの本に限らずともアマゾンでも『ホセ・ムヒカ』と検索すれば枕詞のように『世界で最も貧しい大統領』と名のついた本が大量に出てきます。資本主義に対するアンチテーゼを謳ったホセ・ムヒカの著作が出版社にとっては出せば売れるからだからか、大量に同じような本がアマゾンの検索結果に並んでいるのは一種の皮肉のように感じてしまいました。たぶん私は考えすぎているのでしょう。

 ホセ・ムヒカは自身のことを『貧乏ではなく質素』と言っているそうです。愛車は30年前のビートル、家に水道はなく井戸水。街へ行けば庶民に混じって食事している大統領を見られたり、若者がヒッチハイクをしたら止まったのは大統領の車という一面もあったそうです。なかなかお茶目な大統領ですね。

 大統領在任中の給与は九割を寄付していたそうです。私が読んだ上記の本の中には奥さんが国会議員という記載がありました。妻と合わせた資産は21万5000ドル(2300万円)。上記の本にあるように世界でもっとも貧しい大統領かどうかは疑問です。 。ウルグアイはそもそもそれほど貧しい国ではないような…でもとりあえず世間的には、大人の事情的には世界でもっとも貧しい大統領です。その方が何かと好都合なのでしょう。もしかしたら世界でもっとも貧しい大統領という枕詞はホセ・ムヒカの言葉の意味すら隠してしまうかもしれません。ちなみに私はゆうちょに預けているお金がホセ・ムヒカの100分の1しかないまぁまぁ貧しい整備士ですが、同時に物欲もありません。ただ静かに暮らしたいだけです。ホセ・ムヒカ寄りの人間です

 使い捨ての文化を批判していたホセ・ムヒカの言葉ですが、共感を多く得たもののその言葉もまた使い捨ての文化の上に載せられてしまっています。一国の大統領の言葉でさえ一時の声として資本主義の波に飲み込まれてしまうのでしょうか…資本主義が正しいのか、ホセ・ムヒカが正しいのかそれはこれからの歴史が証明してくれるはずです。

 

 1つ驚いたことは、ホセ・ムヒカは60年前に購入した自転車を今も使用しているということです。それは本当に素敵なことだと思います。思わずクロモリの自転車をパナソニックなんかにオーダーしたくなりました。

 私は一応日給二級整備士なので、時々お客さんに車やバイクの寿命を訪ねられますが答えは決まっていつも「メンテナンス次第です」「お客さま次第です」と返事していました。お客さんが本気でずっと大切にするならば車もバイク長く使うことができます。その気がないお客さんは修理や車検の際に、大きなお金がかかると知ると手放して新しいものに乗り換えていました。車を一目見ればオーナーがどう扱っているかは簡単にわかります。

 私の愛車はもう50年近く前のバイクです。30年近く前のバイクもあります。20年近く前のオフロードバイクもあります。10年近く前のバイクも畑の納屋に収められて出番を待っています。一生手放すことはないでしょう。他に小さなかわいいホンダのエイプという100㏄のバイクも乗っていましたが、ある朝乗ろうとしたら盗難されていました。今でも見つかっていません。もう見つかることはないでしょう。犯人を今でも許していません。一生許すことはないでしょう。

 とホセ・ムヒカに関係があるようなないようなことをつらつらと書きましたが、新しい車を買ってもらわないと日本の自動車メーカーやパーツのメーカーは成り立ちません。いやパーツメーカーは成り立つか。ともかく資本主義にとって経済の流れにとって古いものは邪魔です。バイクの部品などは確か生産終了から7年しか部品の在庫義務がありません。お客さんに物を大切にされると困ります。利益を得るためには広告をともかくバンバンしてバンバン消費者に新車を買ってもらうのが一番です。ホセ・ムヒカが警鐘を鳴らしているのはこのシステムです。貧しいとかいう枕詞に注目するべきではありません。

 全体としては資本主義を変えることはできないかもしれませんが、個人としてなら資本主義に対する姿勢は変えることができるはずです。そしてその動きがいつかは世界を変える?

 私がホセ・ムヒカに関する本のタイトルを考えるならば…世界でもっとも貧しいとかいう言葉は使いません。