ねじまき士クロニクル

名もない整備士のつぶやき

喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日

 日本語訳の題名は何やら中国を悪者のように仕立て上げていますが、この本の本質は長年にわたる先進国によるアフリカの資源略奪システムがどのようにしてアフリカを不幸にしているかということです。ふむふむなるほど今まで欧米が略奪していた途上国の資源を今度は中国が略奪しようとしているんだな、という単純な話ではありません。資源を輸入しているという意味では中国も日本も他の国も変わりません。

 どこの国も100年以上前の植民地や奴隷制の時代のように強制労働や手首の切り落としなどの行いで暴利を稼いでいるわけではありません。もしかしたら詐欺まがいのようなことは多少しているかもしれませんが…問題は資源を買いとってもアフリカの国はそのお金で発展できず、資源を買いとった側はその資源を使ってさらに発展していくということです。

 ロイヤル・ダッチ・シェルは、ニジェール・デルタで大量の原油を発見してから三年後の一九五九年、アメリカのエクソン(現エクソンモービルの前身の一つ)と共同でオランダ北部のスロフテレンという村で掘削を行い、ヨーロッパ最大級のガス田を発見した。ガス田の発見はさらに続いた。しかし同社は間もなく、この発見を喜ぶベきかどうか疑問視するようになった。その近辺で、エネルギー産業以外の労働者が職を失い始めたからだ。つまり、ほかの産業部門が衰えてしまったのである。エコノミスト誌は一九七七年、このような状況を「オランダ病」と呼んだ。

 オランダのような富裕なヨーロッパの国であれば、ほかの多くの国よりは抵抗力があるかもしれない。しかしこの病はオランダ特有のものではない。オランダ病は世界中どこででも見られる。しかもそれは、多くの場合、貧困と抑圧を生み出す。

 この病気は、貨幣を通じて国に入ってくる。輸出された炭化水素資源、鉱物資源、鉱石、宝石にドルが支払われると、自国通貨の価値が上がる。すると、国内製品に比べて輸入品のほうが安くなり、自国の企業が弱くなる。こうして輸入品が国内製品に置き換わると、地元の農民は耕作地を放棄する。それでも工業化が始まれば、このプロセスは後退していくが、このような状況になってしまうと工業化はなかなか進まない。天然資源を加工すれば、その価値を四〇〇倍にできるかもしれない。だが工業力のないアフリカの資源国家では、原油や鉱石がそのままの形で流出していき、どこかほかの場所でその価値を高める加工が行われる。

 

 こうして経済的な依存症の悪循環が始まる。ほかの産業が衰えると、天然資源への依存率が高まる。天然資源ビジネスにしかチャンスはなくなるが、わずかな人々しかそのチャンスはつかめない。鉱山や油田の開発には莫大な資金が必要になる反面、農業や製造業に比べ、労働力は少なくてすむからだ。配電網や道路、学校といったインフラを整備すればチャンスは広がるが、石油や鉱物資源によってほかの産業が衰退していくため、インフラ整備もおろそかになってしまう。

 アフリカは、慢性的なオランダ病で衰弱している。大量雇用を生み出すような産業基盤を持つ幅広い経済活動が生まれるどころか、貧困が蔓延している。

 

二〇一一年の世界全体の製造業の生産高に占めるアフリカの割合は、一パーセント程度でしかない。この数字は二〇〇〇年からまったく変わっていない。

  この数字は世界に大きな変化がなければ2020年になっても2030年になっても変わらないはずです。現時点でも世界中の工業製品の需要を補う工場の設備が先進国にあり、また世界のどこかで需要が生まれれば儲かる匂いを嗅ぎつけて先進国が工場を作ります。どこに?アフリカ以外の国に。途上国にボランティアで工場を建てる企業はありません。本当の途上国では電気、水道、物流、人材、治安などの工業化に必要な要素を確保することさえ難しいです。

 例えばガーナではキットカットさえメイドインインドです。もしかしたらインドもカカオの生産大国なのかもしれないと思い調べてみましたが、インドのカカオはガーナの生産量の45分の1の規模しかないようです。それでもガーナで加工して作るよりもインドで作った方が安上がりなのでしょう。

 そして途上国が頼みの綱の資源を輸出して得たお金で購入するものは外国の製品です。資源以外に外国の工業製品の価値と見合うようなものはありません。お金がない人のためにアップルはアイフォンを格安で提供したりはしないし、トヨタカローラを寄付してはくれません。それでも街に外国の製品が溢れれば見かけだけは発展するかもしれませんが、実態は砂上の楼閣です。

 江戸時代の日本のように、アフリカが鎖国して外国からの製品の輸入を徹底的に規制して、外国から知識と技術だけを輸入するような仕組みを作ればもしかしたら…それでも現状ではアフリカの人たちは西欧に憧れすぎてしまっているのかもしれません。物欲は言うまでもなく、思想の面でも外国由来の一神教です。

 頼みの綱の富裕層は高級車や高級家電にお金を費やします。一般の人たちもお金を得ればアップル、サムスン、自家用車、先進国の人と同じような生活を欲します。もしくは富を求めて海外に出ていきます。自国を良くしようとする気概を持つ人は少ないです。

 

 アフリカで安定している国として南アフリカの上にある国、ボツワナが挙げられていますが例外です。西アフリカのように奴隷貿易の影響をもろに受けず、東アフリカのようにアラブの奴隷商人たちの影響を受けず、南アフリカのように植民地にされた影響も大きくなく…独立後にダイヤモンド鉱山が見つかるという幸運。

 今ではダイヤモンドの生産、流通、加工までボツワナで行っているようです。これからもずっとダイヤモンドは砕けない

                

また、ダイヤモンド産業が模範的に管理されていたとしても、資源産業の最下層の仕事に頼ってばかりいると、浮き沈みの激しい経済変動に悩まされることになる。この点では、鉄や銅や原油など、より価値の低い鉱物資源に頼っている国と事情は変わらない。たとえばボツワナは、輸出の四分の三をダイヤモンドが占めている。だが、資源が豊富なアフリカの国にしては珍しく、内戦を引き起こすこともなければ、大規模な汚職にまみれることもなかった。その理由としては、人口が二〇〇万人程度と国の規模が小さいこと(アフリカ本土にある国で、これ以上に規模が小さい国は数か国しかない)、それに、ほぼ同種の民族で構成されていることが挙げられる。また、アフリカ南部諸国の中では早い一九六六年に独立を勝ち取り、二つの巨大ダイヤモンド鉱山が発見されるころにはすでに機能的な社会制度を構築していたおかげで、政府はデビアスと有利に取引を進めることができた。その結果ボツワナは、ほかのアフリカ諸国よりもはるかに高い生活水準と平和を享受することになった。 

 

 

植民地時代のヨーロッパの帝国や冷戦時代の超大国は姿を消し、資源の宝庫であるアフリカ大陸に新たな支配の形が生まれている。アフリカに生まれた新たな帝国を支配するのは、もはや国家ではない。何ら国民に責任を負わず、影の政府を通じて国土を支配するアフリカの政治家、彼らを世界の資源経済と結びつける仲介者、企業秘密を盾に汚職を行う東西の多国籍企業、この三者の連合勢力が、アフリカを支配している。私たちは、携帯電話で話をしているとき、車に給油しているとき、恋人に指輪をプレゼントしているとき、コンゴ東部の母親のこと、ルアンダのスラム街の住人のこと、マランゲ地区の鉱山労働者のことを考えようとはしない。私たちが目を背けているかぎり、略奪システムは今後も生き続ける。

  私は軟弱者なので途上国からの資源の輸入がない生活に耐えられる気がしません。そして途上国の人々から目を背けている1人です。

 

イースト・ロンドンの私の家のすぐ近くにカフェがある。店頭の黒板には「倫理的に調達された有機栽培のコーヒー豆を使用しています!」とチョークで記されている。ここは、ボブ・マーリーの息子ローハンが設立した企業のコーヒー豆を使用しており、その企業は、中央アメリカのジャマイカやエチオピアから豆を仕入れているという。また、通りの先にあるスーパーを見ると、袋詰めされたナツメヤシにはイスラエル産、ぶどうにはチリ産という表示がある。一方、宝飾店や携帯電話販売店では、商品に使用されている宝石や金属の原産地表示はない。炭酸飲料を販売する店でも、缶に使用されているアルミの原産地は明示していない。住居を販売している不動産会社を訪ねても、配電網に使われている銅や、キッチンのステンレス鋼の原料となる鉄の原産地はわからない。ガソリンスタンドで販売されているさまざまな等級のガソリンや軽油についても同じだ。現在では、あらゆる大陸から来た商品が、複雑に絡み合うグローバル経済の供給プロセスを通じて渾然一体となっている。そのためこのイースト・ロンドンの目抜き通りで、アフリカの天然資源はいわば〝匿名〟で販売されている。ロサンゼルスのショッピングモールでも、ローマのブティックでも事情は変わらない。さらに、私たちの年金基金は、こうした天然資源を扱っている企業の株式に投資されている。その投資を通じて私たちは、石油産業・鉱業の巨大企業の利益を享受しているのだ。

 お金さえ払えば商品は手に入りますがその裏には?これが今の世界のシステムです。商社の株でも買えばもっと身に染みてそのシステムが見えてくるかもしれません。私も間接的に利益を受けている1人です。

 

喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日

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