ねじまき士クロニクル

日向の窓にあこがれて

福島の原発に関する本

チェルノブイリには行きたくねぇ 

あの娘を抱きしめていたい

どこへ行っても同じことなのか

  子どもの頃好きだったバンドがチェルノブイリについて歌っていました。子供の頃にはチェルノブイリが一体何なのか、おぼろげにしかわかっていませんでした。もしかしたら今でも何もわかっていないかもしれません。

 

 地震が起きた前の総選挙のことはよく覚えています。2009年8月31日だった思います。私は旅先でその日を迎えました。私の身内は何かが変わることを期待して民主党に投票していました。私は期日前投票公明党以外のどこかに投票した気がします。それから一年半後、地震が起きました。原発を推進していたのは自民党ですが、地震が起きた時の政権は民主党でした。

 

 東電福島原発事故 総理大臣して考えたこと 

東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと (幻冬舎新書)

東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと (幻冬舎新書)

 

   東日本大震災での管総理の対応をネット上で批判している意見をよく目にします。ネット上ではなくても耳にする機会もあります。でもとりあえずは、菅直人の言い分を聞いてみてからです。プロパガンダか何かわかりませんが、わざわざ事故対応時のことを記してくれています。お金を取られるのは癪ですが、一応基本的な資料です。何も目新しいことは載っていませんし、菅直人が頑張った記録が中心なので、反民主党、反菅の人は読んでいてイライラするかもしれません。『事故対応中はイライラしたけど許してね』と本人も言っています。何はともあれ基本資料です。とりあえず事故時の『日本(私たち)』の最高責任者だった菅直人の正式な意見を頭に入れてからこの問題については考える必要があります。

 

二度目は起きない。とりあえずなんとなく原発動かしてしまえ。東京にはもう被害ないでしょう。電気代が高くなるのは嫌だ。大きな事故が遭ったけど福島の小さい街が何個か住めなくなっただけで済んでよかった。福島の物はなんとなく食べたくない。

適当に書き連ねましたが、今はもうこういった意見が関東の財界人の本音でしょうか?

 

 首相在任中に、日本が被爆地帯と北海道と西日本に三分割される可能性があった事故に直面し、脱原発を打ち出しましたが、失脚して野田に政権を託しました。その後、野田が解散総選挙にかけますがやっぱり惨敗、そして自民の天下が今も続いています。脱原発をするならば、国民が自国のエネルギー問題に関して問題意識を持ったあの時が唯一の機会だったのかもしれません。自民党政権下では脱原発はあり得ません。世間の風潮(マスコミ)は反民主党一色だったので、自民が大勝した時の選挙はあまり記憶にありません。

 この一冊だけではわかりませんが、浜岡原発の停止要請や反原発を掲げるのはかなり勇気がいる行為だったと思います。事故対応全般に関して東電経済産業省などの原子力村の方々にかなり足を引っ張られた感があります。とにかくまずは最高責任者の本からです。

 

 

原発プロパガンダ  

原発プロパガンダ (岩波新書)

原発プロパガンダ (岩波新書)

 

  安全神話がまかり通っていた原発でなぜ事故が起きたのか?その問題について解き明かしています。安全神話があったからこそ事故が起きました。事故が拡大しました。

 安全神話を自ら信じて事故が起きた時のリスクを全く考えていなかった各組織のことが良くわかります。メディアには広告料という名の口止め料を渡し、反原発でも叫ぼうものならメディアの力によって公共の電波からはじき出されます。警告を発していた良心のあった人たちの意見も経済の名の下に顧みられることはありませんでした。安全神話が崩壊した後の原子力村の方々は今度は安心神話を謳っています。『風評被害』と巷で聞きますが、何が本当で何が嘘なのか…自分で判断するしかありません。福島産を避ける人がいても誰も責められません。直ちに影響がわかればいいですが、たいていのことは後になってからわかります。

 

 独占が保証されていた電気業界で、年間の広告料は何百億円。トヨタソニーなどの東証一部上場企業の広告費と遜色ない額だったということです。テレビや新聞への事実上の口止め料です。みんながお金の言うこと聞くから、お金をもらってしまえばどうしようもありません。何百億円かもらったら誰でも言うこと聞きますよね?

 事故が起こる前、原子力村の方々は全国の子供を対象に原子力発電の安心安全を謳ったポスター展を開催していたようです。『何なら今でも開催してくれたらいいのに』と思う私はまちがいなくひねくれています。やるなら徹底的にやって欲しいです。

 自民党と電力会社の願いは、とりあえずしれっと原発再開です。原発の事故を忘れた国民の願いはただ電気代の値下げです。電気のためなら田舎の一つや二つなくなってもいいのかもしれません。それが日本人の選択です。

 

 メルトダウン 

メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故

メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故

 

  事故関係のドキュメントで一番まとまっている印象を受けました。広くそれなりに深く網羅されています。民主党の崩壊まで書かれています。真っ先にこの本を読んでもいいかもしれません。民主党が叩かれまくっていた背景がわかります。もちろん叩かれる理由も多数ありましたが…

 東電がこの原発事故に対してどのような動きをしたかがよくわかります。勝俣会長は最後まで自らの責任を認めることはありませんでした。万が一の事態に備えてなのか、清水社長は体調不良の入院中に不動産のローンを返済しています。あくまでも東電は被害者であり、事故は避けることができなかった未曽有の災害だったという認識です。

 原子力村の事情も含めて、大人の事情によって脱原発がどれだけ難しいことかわかると思います。原子力村の組織がそのまま残るならば、たぶん事故はまた起きます。日本で住めなくなる地域がまた増えるかもしれませんね。

 

カウントダウン・メルトダウン 

  上記のメルトダウンの方が私にとってはわかりやすかったです。が、海外の動きに関してはこの本は詳しかったです。原発を巡って各国がどう動いたかが詳しいです。

 原発事故が起きた際にウクライナ中からキエフ日本大使館に「非難する日本の子供を受け入れたい」との申し出があったそうです。チェルノブイリで現実を見たウクライナの方々は「子どもを逃すこと」が最大の危機対応だと考えていました。直ちに問題はないと言っているからからとりあえず現地にいるのが正しいのか、直ちに問題がなくてもとりあえず現地から非難するのかが正しいのか…

 

 

 

チェルノブイリの祈り 

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)

 

  福島ではありませんが、チェルノブイリに関しては『チェルノブイリの祈り』というインタビュー集があります。誰かの愛する人が、もはや人間ではなく放射能を放つ放射性物質に変わってしまう現実が描かれています。

 福島の人たちの思いは東京電力や東京の人たちに届いているのかどうか私は知りません。福島ではまるで気温を測る温度計かのように、放射能を測る機器が至る所にあります。これから何年も何十年ももしかしたらそれが存在し続けるかもしれません。福島の現地の人たちの生の声を「東京の人」に届けるようなインタビュー集を誰か…と願ってしまいます。

 

 

  私はこれらの本を読んで、何を血迷ったか地元の電力会社と東電の株を買いました。たぶん死ぬまで売ることはないでしょう。もしも東電がつぶれて私が払った5万円弱がどこかに消滅しても構いません。これから半年に一回、定期的に会社の正式な意見が私の所に届くはずです。ちょっと高い手紙かもしれませんが、価値がある手紙なはずです。事故を経た日本に暮らす1人の国民として、電力会社の姿勢を知ることは1つの責任のようなものだと私は考えています。

  私が好きだったバンドは別の曲で、過去の日本についても歌っています。今から30年以上前の歌ですが…未来のことのようにも聞こえます。

僕達がまだ生まれてなかった 40年前戦争に負けた  

そしてこの島は歴史に残った 放射能に汚染された島