ねじまき士クロニクル

日向の窓にあこがれて

3万円の両替

 先日、お世話になっている人から日本円の換金をお願いされました。パスポートをごそごそしていたら「サンマンエン」あったということで、こちらの通貨と交換しました。30年近く前に日本へ出稼ぎに来て、それから6.7年「カンダ」近くの「ゲンバ」で働いていたそうです。ゲンバで貯めたお金は母国へ送金してそのお金で家を建てています。仕事を引退した今でも乗用車を持てるくらい裕福です。ゲンバで働いていた間は、結婚して家族がいたにも関わらず、お金のために一度も母国に帰らなかったそうです。大半の日本語は忘れてしまった様ですが、今でも簡単な日本語ならわかるようで、わかる単語なら日本語で話そうとしてくれます。「レイゾウコ」「バール」「おはようございます」

 この国で3万円もあれば、日本の感覚で言えば2.3カ月は暮らせるだけの額になります。パスポートをごそごそしてみてお金があって、しかも身近に日本人がいてラッキーだったとしか言えません。パスポートをごそごそしてみるもんですね。3万円分、楽しく使ってくれたらありがたいです。

 受け取った紙幣は10年ほど前まで発行されていた福沢諭吉の旧札。受け取った当初は違和感しかなくてネットで画像を確認してしまいました。

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 街を歩けば「日本に連れて行ってくれ」とお願いされる国で、本当に日本に行ったことがある人は少ないです。結婚してくれ、金くれ、連れて行ってくれを聞かない日はありませんが、そもそも、日本と中国の区別もつかない、日本も中国もどこにあるのか知らない人達が大多数です。貧しい母国から出ることしか考えず、貧しい母国を発展させようとは誰もしていないのかもしれません。もちろん日本に連れて行ってくれと頼まれたら「一神教は偶像をぶっ壊す可能性があるからダメだよ」「日本語が喋れないときびしいね」とやんわりと断っています。その中で30年以上前に実際に日本に渡って、お金を稼いだおじいさんを尊敬します。

 20年以上の時間、日本から遠く離れた国に眠り続けていた「サンマンエン」が私の手に渡ってきたと思うと少しだけ不思議な気になります。私もパスポートをごそごそしましたが何も出てきませんでした。