ねじまき士クロニクル

日向の窓にあこがれて

悲惨な朝鮮史

 アマゾンで調べていて、意外と朝鮮の歴史を扱った本が少ないのに驚きました。

 高校の時に世界史を習った気がしますが、朝鮮の知識は今ではすっぽりと抜け落ちてしまっています。日本人と朝鮮人、顔は似ているかもしれませんが、中身はまったくの別です。キリスト教がかなりの割合で信仰されている時点で思想にかなりの違いがあることがわかります。肌の色が同じだからと言って考え方まで一緒とは限りません。在日朝鮮人などの問題も、お互いの外見がはっきりと違っていたら、考え方の違いもはっきりと認識でき、お互いにとってもうちょっと幸せな関係になれたかもしれません。

 著者は1000年前の朝鮮を考えれば、現代の朝鮮人の考え方がわかると説明しています。韓国の歴史はあまり恵まれているとは言えません。陸続きで超大国だった中国があったことが大きな影響を与えています。中国にもモンゴルにも支配されていた時期もあるようです。もしも朝鮮がまるっきり中国の一部だったら…という妄想をするのは頭の中だけにしておきます。朝鮮の歴史を通じて、大陸とは日本海を隔てて存在していた日本がどれだけ恵まれていたかがわかります。

 嫌韓ではないと冒頭にありますが、悲惨な内容だけを集めている時点で、この本がどういった内容なのかわかると思います。嫌韓ではないかもしれませんが正確な意味での朝鮮史ではありません。朝鮮の歴史の中から、悲惨な事例を集めた本です。悲惨な事例を分析して、朝鮮の思想をあぶりだそうとしています。著者曰く、セウォル号沈没で逃げた船長や慰安婦問題も高麗や李氏朝鮮の歴史を見るとそこに源流があるそうです。

高麗(や李朝)では、敵軍が侵入した時に、何度か国王が王宮や首都の住民を捨ててなりふり構わず、逃げ出した。国王だけでなく、前線の将軍も勝手に逃げ出している。このような事象の比較を通して、1000年もの長き間、一貫して流れている朝鮮の根源的な価値観や倫理観がくっきりと浮き上がってくることが分かる。

 最後まで読むと嫌というほど、情けない歴史が紹介されています。もちろん悲惨な情けない事例だけを集めているわけですから偏っています。韓国の人たちに高麗の歴史は人気がないそうですが、歴史を学べば確かにそうかもしれません。モンゴルの支配下に置かれたモンゴルの血が入った辮髪の王族。韓流のドラマではちょっと扱われないかもしれません。韓流のドラマを見たことはありませんが。

 

                

読んでいて非常に驚いたことがある。それは、高麗史と高麗史節要の両方に1334年の記事が全く見当たらないことだ。さらにこの前後の年の記事もかなり欠けている。この点については、何冊か読んだ朝鮮の通史の本にも全く出てこなかった。具体的には、前年(1333年)7月から翌年(1335年)の4月まで記事が全く見当たらないのだ。1333年の記事も極めて短い。理由は分からないが、推測するに次のようなことではないかと考えられる。1335年(27忠粛王)に高麗から元の朝廷に使節を出して、童女を探す──つまり、強制的な人さらい──のを止めてくれと嘆願したとの記事が見える。この嘆願書を読むと、高麗の民がいかに悲惨な目に遭わされていたかということが切々と伝わってくる。ひょっとして、その前年(1334年)にも酷い童女探しがあったのではないかと推測される。つまり、記事内容があまりにも惨め過ぎて、李朝の史官たちが書き写すに忍びなかったので、ばっさり削除したのではないかと想像される。この辺りの事情を考えてみると、よく言われるように高麗史、高麗史節要の編纂のあとで元資料を湮滅した、という理由が朧げながら浮かんでくる。

  私がいちばん興味深かったのがここです。この1334年の空白については、ネットでちょこっと調べても特に何も出てきませんでした。日本でもドリルでHDDを破壊したり、尖閣のビデオを公開しなかったり、都合の悪い情報をもみ消すことはよくあることですが、一年間にわたって情報が欠落しているのはよっぽどです。捏造の源流が表れています、とは言う気はありませんが、もし仮に著者の推測通りに元に人さらいをされていたとしたら、朝鮮の人たちは見たくなかった現実を直視できなかったのかもしれません。

 

一旦権力の座から落ちたものは、過去の罪が容赦なく暴かれ、とことん弾劾されるのが朝鮮の伝統でもある。

                

最近の例で言えば、韓国併合時に日本政府に協力した李完用は戦後、親日反民族の元凶としてやり玉に挙がっただけでなく、死亡後80年たった2005年に親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法で、子孫の土地が国家に没収された。日本のように、死んでしまえばたとえ極悪人であろうとも、生前の悪行がほとんどの場合、帳消しにされて、供養の対象とされるのとは大違いだ。

  北朝鮮金正男も消されました。韓国の歴代大統領も権力の座から落ちたらかなりの割合で糾弾されています。朝鮮にとってはこれらは普通のことなのかもしれません。戦争中ならわかる気もしますが、今はもう21世紀です。と、書いてから朝鮮戦争はまだ終わっていなかったことに気付きました。

結局のところ、朝鮮の王朝は高麗に限らず、地政学上および軍事的に小国故に、止むを得ず強国に対外追従せざるを得ない、悲しい運命にあったと言える。

  結局、朝鮮の歴史はこの一言に尽きると思います。それでも、悲しい運命だったのは何十年か昔のこと。今は南北朝鮮の統一が朝鮮の悲願だとは思いますが…北朝鮮はアメリカにやられることを恐れて核開発をしているのだと思いますが、南北で統一されたら攻撃される理由もなくなるはず…?

 それなのに、それ以上に、海の名前や慰安婦像やミサイルの発射に熱心なのはなぜなのか?未だに私にはわかりません。

 

本当に悲惨な朝鮮史 「高麗史節要」を読み解く (角川新書)

本当に悲惨な朝鮮史 「高麗史節要」を読み解く (角川新書)