ねじまき士クロニクル

日向の窓にあこがれて

チョコレートの真実

私の国には学校へ向かいながらチョコレートをかじる子供がいて、ここには学校にも行けず、生きるために働かなければならない子供がいる。

  チョコレートはいつだって甘い。食べすぎたら鼻血も出るしニキビもできるかもしれない。でもそれは砂糖の甘さ。本当は苦い食べ物。バレンタインデーの前日に机をきれいにして誰かが入れてくれるのを期待しても何も入っていない。無駄に学校に残っていても何の意味もない。ちょっと期待する分とても切ない。チョコレートは本当は苦い食べ物。もちろんその歴史も…

 今でこそ、カカオの世界的な産地はアフリカの西海岸ですがその歴史は100年そこそこのものです。カカオの原産地は中南米。インカでもアステカでもカカオの豆はお金の代わりに使用されていたようです。そしてそれを食べたり飲んだりできるのは一部の特権階級のみでした…今では世界中の先進国の住人が特権階級になったのか、チョコレートは特別な食べ物ではなくなりました。そして今はもうお金の代わりにカカオ豆が使用されることはありません。コンビニでお金を払う代わりにチョコレートを渡したら店員さんは困惑することでしょう。バレンタインの季節ならば恋が生まれるかもしれません。

 

 「チョコレートの真実」の内容はかなり長いです。前半は主にカカオの歴史、後半はみんな知っている児童労働や大国に翻弄される途上国の実態です。アフリカのとある国が独自の政策を打ち出して発展しようとしても、大人の事情で潰されて失敗した国にされる。その繰り返しです。世界中が薄々気付いていることかもれません。

 日本でのチョコレートの代名詞であり、独立時にはアフリカの希望の星だったガーナについても書いてあります。「ガーナはチョコレートを売って得たお金で国民みんな豊かになり幸せに暮らしました」とか書いてあればいいんですが、そんな甘い話はありません。1957年の独立時には今のASEAN諸国と同じ規模のGDPだったのが今ではかなりの差がついています。もちろんGDPがすべてではありませんが、やっぱり世の中は金です。

大統領としてのエンクルマは、イギリスに代わってカカオ流通公社(農民から農産物を買い上げ、国内での流通・輸出まで独占的に行い、取引価格を決定する機関。第二次世界大戦中の農産物統制制度を引き継ぎ、英領植民地では一九四五年~五〇年代初期に設立)の支配権を握った。また、カカオ生産者が団結してカカオ豆の価格を設定できるよう、カルテル結成を試みる。しかしこれは、チョコレート大企業にはもう経験済みのことだった。

  もちろん大企業はそれを許してくれません。カカオ豆を大量に買い付けて、それから大量に売り浴びせました。カカオ豆の価格は下落。ガーナは莫大な債務を抱えてエンクルマは大統領の座を追われることとなりました。

 ガーナのお隣のコートジボワールも同様です。独立してから順調な成長を続けていました。しかし、1980年代後半にカカオとコーヒーの価格が暴落。ウーフェ大統領は値段を維持しようと頑張りましたが、もちろん投機家に敗北。コートジボワールはウーフェ大統領の死後、混乱が続くこととなります。コートジボワールは世界最大のカカオの生産国でしたが価格を決定することができません。一次製品の世界は残酷です。株やFXや先物をやったことがない人にはわからないかもしれませんが、世の中やっぱり金です。お金持ちによって実体経済を越えて簡単に相場は操縦されます。調べれば誰でも先物取引のチャートを簡単に見ることができます。カカオの値段が半額になったら生産者の給料が半額になるかもしれませんが、カカオの値段が倍になっても生産者の給料が2倍になることはありません。残念ながらそういうものです。これが現実です。消費者としてはチョコレートは安いほど嬉しいのは間違いありません。でもそこで売られているチョコは児童労働や生産者の犠牲の上に成り立っている理不尽な安さなのかどうか…?それでも私はチョコを買います。

本書の中でカカオ豆を栽培している子供はチョコレートを見たことも味わったこともないと書いてありましたが、そこについてはちょっとだけ疑問に思います。チョコレートに関する続きはまた明日。

 

 

チョコレートの真実 [DIPシリーズ]

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