ねじまき士クロニクル

日向の窓にあこがれて

ヒュパティアの牡蠣

 ローマ帝国衰退中の5世紀初頭のエジプトのアレクサンドリアの街に、ヒュパティアという女性がいました。彼女は哲学者で何か質問を受けると相手の知識や気分に合わせて返答をしました。プラトンアリストテレスについて問われるとすらすらと説明したということです。当時の一流の、知識人でさらに容姿も優れていたとか。

 ただ、残念ながら時はキリスト教の興隆期、女性でしかも知識をひけらかしていたヒュパティアをキリスト教徒は良く思っていなかったそうです。

 ある日の帰り道、ヒュパティアに石が投げられました。彼女は逃げて教会に駆け込みました。その教会こそがキリスト教徒たちがヒュパティアを待ち構えていた場所でした。ヒュパティアは裸にされ肉を切り刻まれ殺されました。キリスト教徒たちはヒュパティアの肉片をかざしながら街を行進したということです。

 国教になったキリスト教徒による異教徒迫害のほんの一例です。魔女狩りのはしりと言ってもいいかもしれません。ローマ帝国の話になるとよくキリスト教徒は「迫害された」と言いますが、実際はほとんど迫害されていません。ローマ帝国は風紀や治安を乱す可能性がある場合に信教の自由を禁じたと言ってもいいかもしれません。歴史を通じてみるとキリスト教徒による異教徒の迫害の方が長いことは明白です。キリスト教徒は聖書しか読まないのか、他のことには全く興味がないかのようです。何かあったらことあるごとに聖書を引用するのに、聖書と同時代の史実を知ろうとしていない印象です。

 キリスト教の興隆とローマ帝国の衰退。反比例の関係にあるような気がします。中世のキリスト教の衰退と科学技術の発展。これも反比例な気がします。現代の宗教の信仰と経済の発展は…?ただ、1600年前のキリスト教のことを持ち出してみても…今のキリスト教とは違うかもしれませんね。違うことを願います。

 上記は馬の世界史でお馴染みの本村さんの「ローマ帝国 人物列伝」のアウグスティヌスの項目からです。ヒュパティアに関してWikiにも詳しい話が載っています。真偽はわかりませんが牡蠣の殻で肉をそがれたということです。彼女を描いた映画もあるようです。

 イエスは死んでから神格化されて何百年か経ってローマ帝国の国教になりました。日本でも何百年かしたら創価学会のあのお方が神格化されるかもしれませんね。そんなこと考えたくはないですが。

 

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