ねじまき士クロニクル

日向の窓にあこがれて

オペ・おかめ 広島乙女

私の思いついたSF的状況がもし実現すれば、核戦争から世界を救う手がかりが得られるかもしれない、と考えたからである。アイディアは簡単である。「一人の老物理学者が100パーセント確実な実行性能をもつ暗殺用機器を完成し、それを用いて、核軍拡に狂奔する世界に対して神を演じようとする」

 オペ・おかめの小説のあらすじは上記の通りです。一人の物理学者が100%確実な暗殺の方法を考案し、それを用いて核拡散を防ごうとする。暗殺のターゲットは核のボタンを持っている人物です。暗殺の方法は物理学の応用により作った昆虫型の暗殺用機器です。世界中の人間が、無差別に、平等に、殺しのターゲットになる…ドローンが軍事的に活用されそうな今では「デスノート」よりもはるかに現実的な方法だと思います。作中ではこの技術を「貧者の原爆」と読んでいます。小説の主人公のモデルは明らかに作者本人です。

 作者の藤永茂氏は物理学の教授でありながら、コロンブスが来てからのアメリカの歴史、「原爆の父」オッペンハイマーの評論、ベルギーによるコンゴの苛烈な植民地支配を扱った著作もある方です。90を越えた今でもブログでクルドやパレスチナ問題に関して発言されています。上記の執筆動機の引用もブログからです。

 オペ・おかめは、インディアン、長崎、広島、植民地…作者の今までの知見をすべて詰め込んでいます。読み物としての評価は誰かに任せます。残念ながら無知な私はこの本を読むまで、原爆で受けた傷を治すためにアメリカに渡った「広島乙女」という言葉も存在も知りませんでした。ちょうど私の祖母と同じ年代の方々の話です。作中に紹介されている「Hiroshima Maidens」の翻訳はないみたいです。どれだけ時間がかかるかわかりませんが英語で読もうと思います。

 Kindleで300円の多くの人に読まれることだけを目的にした、明らかに商業目的ではない電子書籍です。

オペ・おかめ

オペ・おかめ

 

 

 「Hiroshima Maidens」に関してです。

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