ねじまき士クロニクル

いちごの味に似ている

先進国と発展途上国 世界システム論のわかりにくい紹介

 近代の世界システムは、いわゆる大航海時代の後半に、西ヨーロッパ諸国を「中核」 とし、ラテンアメリカや東ヨーロッパを「周辺」として成立した。以後、この巨大な生物は、十九世紀のように激しく成長・拡大する時期と、十七世紀のようにむしろ収縮気味の時期とを繰り返しつつ、地球上のあらゆる地域を吞み込んでいった。ロシア史上、 西ヨーロッパの文化を取り入れたとされるピョートル大帝の時代は、世界システム論からいえば、ロシアがこのシステムに組み込まれたことを意味するにすぎない。わが国の開国・維新もまた同じである。今日では、地球上に、このシステムに組み込まれていない地域は、ほとんどない。世界システムの「中核」とは、この世界的な規模での分業体制から多くの余剰を吸収できる地域であり、工業生産を中心とする地域でもある。これに対して、「周辺」は、食糧や原材料の生産に特化させられ、「中核」に従属させられる地域のことである。

 

 現在の世界は、少数の工業的な「先進国」と農業的な「発展途上国」に分かれている、と考えられています。ヨーロッパ、アメリカ、日本などの「先進国」の多くは北半球にあり、アジア、アフリカ、ラテンアメリカに多い「発展途上国」は南半球にあります。これが「南北問題」と呼ばれている課題です。かの有名な「世界がもし100人の村だったら」の話はこの問題を簡潔に表しています。

 

  

 

 先進国は発展していて、発展途上国は発展していない。

イギリスが十九世紀はじめに達成した「工業化」に、インドはまだ成功していないとか、イギリスでは十八世紀初頭に確立した議会制民主主義が、アフリカの国には「まだ」成立していない

 発展途上国に対して、このような意見を聞いたことはありませんか?この見解では、歴史が国を単位として展開するということ、どの国でも同じ様に発展する、という2つの認識が見え隠れしています。同じ様な発展とは、GDPの成長、資本主義への転換、工業化、民主化などです。そして、いつかは発展途上国も先進国のようになるというような認識です。歴史を通して、頑張った国は「先進国」になり、頑張らなかった国は「遅れて」しまい「発展途上国」のままである。と言い換えることもできます。

 

 

 しかし、世界システム論ではこの考えを否定します。世界は一つのまとまったシステム(構造)になっているので「国」を単位として展開しているのではなく、すべての国の動向は世界システムの動きの一部でしかない。という考え方です、例えるならば

「イギリスは、工業化されたが、インドはされなかった」のではなく、「イギリスが工業化したために、その影響をうけたインドは、容易に工業化できなくなった」

 このような考え方です。先進国が工業化され、発展する過程において、発展途上国が食料や原材料生産地として猛烈に「開発」された結果、経済や社会のあり方がゆがんでしまったため現在の南北問題が発生しているという認識です。アメリカにコロンブスが来てから世界が一つのシステムになることが加速したのですが、実際に当時豊かだった土地でも現在は経済的には恵まれていない状況です。砂糖やコーヒー、紅茶が栽培できるということはそれらの地域にとっては不幸なことでした。もちろん金や銀が産出されるということも…逆にヨーロッパと同じような気候で同じような農作物しか栽培できないような土地は低開発化を免れることによって発展の可能性を残すことができました。

 世界システム論の立場から言えば「先進国は発展していて、発展途上国は発展していない」のではなく「先進国が発展しているから発展途上国は発展していない」と簡潔に言い換えることもできます。

 

 

 大航海時代に発明された、世界規模での不等価交換の分業体制は、現在でも続いています。「中核」が「周辺」の資源を使い工業製品を作り販売し、有利なシステムで利益を上げ続けています。国によって発展の形が違ってもいいと思いますが、今の世界の仕組みではそれを許してはくれないのでしょうね。悲しいですけど現在の日本もこの仕組みに組み込まれてはじめて成り立っているのでしょう…

 

 

 「世界がもし100人の村だったら」に

すべての富のうち

6人が59%をもっていて

みんなアメリカ合衆国の人です

74人が39%を

20人が、たったの2%を

分けあっています

 とありますが、世界システム論的に言

 えばどうなるんですかね?

 

世界システム論講義: ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫)

世界システム論講義: ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫)

 

  世界システム論はアメリカの学者、ウォーラーステインの理論です。引用は川北稔氏のこの本からです。この著者の他の作品も必読です。