ねじまき士クロニクル

いちごの味に似ている

ヤマハの逆ネジ 歩行者のための一本のネジ

 バイクのパーツの中で仲間外れのねじがあります。

 

 ペットボトル、蛇口、ねじなどは、右回り(時計回り)で締まるようになっています。逆に、緩めるときは左回り(反時計回り)に回します。

 右に回したら締まっていき、左に回したら緩んでいくねじ、これを「正ねじ」と言います。

 これと反対に、左に回したら締まり、右に回したら緩んでいくねじを「逆ねじ」と言います。

 有名なところでは、大型トラックなどの車体左側のタイヤのホイールナットが逆ねじです。これは正ねじを使っていると進行方向に対して緩む方向の力がかかるので、走行中に緩む可能性があるからです。(それでも緩むことはあります。そして将来の新規格では正ねじになるようです)

 バイクのパーツでもほとんどのねじが「正ねじ」です。整備する人は普段はほとんどねじの向きなど気にしません。99%のねじが正ねじだからです。しかし、駆動系やエンジン内部の部品で、緩む方向に力がかかったらまずいところに逆ねじが使われていることもあります。

 

  そしてヤマハ車の右のミラーにも仲間外れの逆ねじが使われています。

 

 バイクのミラーに関して法律では『後方の状況を確認でき、歩行者と接触したときに衝撃を緩和する装置を備えていなければならない』とあります。

 転倒したり何かと接触したときに真っ先にぶつかるのはミラーです。例えば、下の画像のSR400というバイク(1978年から同じ形で生産中!!)では、左のミラーは正ねじです。走行中に何かと接触してもミラーが緩むので運転手、歩行者に配慮した設計になっています。

 そして右のミラーは逆ねじです。逆ねじを使っているので走行中に何かと接触してもミラーが緩んで力を逃してくれます。バイクにまたがっている姿を想像をしたほうがミラーの回転する向きがわかりやすいかも知れません。

 

 

 

 かつて「ヤマハがミラーの逆ねじに関して特許を取っているから他のメーカーは右のミラー本体を逆ねじにできず、アダプターを付けて対応している」と聞いたことがあります。私はヤマハの社員ではないので本当の事情は不明ですが、確かに他のメーカーは逆ねじを使わずにアダプターで対応しています。コストや生産や汎用性などの事情もあるのかもしれません。下の画像の下のねじ山が問題のねじ山です。

 

フレキシブルステー A(ロング)左

 

 

 他のメーカーはこのような逆ねじアダプターを付けて対応しています。右側の切込みが入っているのが逆ねじの証です。左は普通の正ねじです。

製品写真1

 

 1本のねじが技術や創意工夫によって安全に配慮したつくりになっているという話でした。