ねじまき士クロニクル

とある整備士のつぶやき

公務員の酒気帯び運転

 福岡市水道局に勤務していた男性が、酒気帯び運転を理由に懲戒免職となったのは「処分が重すぎて違法だ」として、市を相手に処分の取り消しを求めた訴訟の上告審で、市の敗訴が確定した。最高裁第一小法廷(木沢克之裁判長)が8日付で、市の上告を退けた。

 昨年12月の二審・福岡高裁判決によると、男性は2013年9月、同僚らと飲酒した後、バイクを運転して帰宅する途中に酒気帯び運転容疑で検挙され、罰金30万円の略式命令を受けた。二審判決は「男性の行為は、飲酒運転の中でも比較的軽い。公務員の地位を奪う処分には特に慎重な検討が必要で、免職処分は重すぎて違法だ」と判断。処分を取り消した一審・福岡地裁判決を支持した。

 

             朝日新聞デジタル 2016年9月12日22時33分

 

 福岡、飲酒運転、公務員と聞いて多くの人が10年前のあの事故のことを思い出したはずです。飲酒運転が厳罰化されるきっかけになった事故を。飲酒運転に関して調べていくうちに民間での酒気帯び運転の事例を見つけました。判決の日時から判断して飲酒運転が厳罰化する前に起きている事件です。

 

 

 ヤマト運輸のドライバーが業務終了後に飲酒して自家用車で帰宅中、酒気帯び運転で検挙された。ドライバーは会社に報告せず、罰金20万円、運転免許停止30日(講習により1日に短縮)の行政処分を受けた。運転記録証明提出時に発覚。ヤマト運輸では、就業規則に「業務の内外を問わず、飲酒運転および酒気帯び運転したときは懲戒解雇する」「懲戒解雇の場合は退職金不支給、ただし事情によりその全額または一部を支給することがある」と定めていた。このことでドライバーは懲戒解雇の無効を理由にヤマト運輸に対して退職金の支払いを求めて裁判した。

 判決は、懲戒解雇は有効

 退職金は 三分の一を支払いへ。(960万円が320万円に)

           ヤマト運輸事件 東京地裁 平成19年8月27日

 

下記が裁判所の見解です。

 ヤマト運輸が大手の貨物自動車運送事業者であり、被告がドライバーの立場だったことからすれば、会社は、交通事故防止に努力し、事故につながりやすい飲酒、酒気帯び運転の違反行為に対しては厳正に対処すべきことが求められる立場にあるといえる。したがって、このような違反行為があれば、社会から厳しい批判を受け、これが直ちに会社の社会的評価の低下に結びつき、企業の円滑な運営に支障をきたすおそれがあり、これは事故を発生させたり報道された場合、行為の反復継続等の場合に限らないといえる。このような会社の立場からすれば、所属のドライバーにつき、業務の内外を問うことなく、飲酒・酒気帯び運転に対して、懲戒解雇という最も重い処分をもって臨むという会社の就業規則の規定は、社会において率先して交通事故の防止に努力するという企業姿勢を示すために必要なものとして肯定され得るものということができる。

 

 他にも多数の判例がありましたが、運転を「職業」にしている人ほど解雇は妥当との判決が多いようです。また公務員が飲酒運転して懲戒免職処分を受けても、裁判で処分取り消しを受けることがあるようです。

 運転を職業とする民間の事業者には運行前の「アルコール検知器」の使用を法律で義務付けています。もちろん飲酒運転したら解雇確実です。民間で働いている人の地位はあまり保護されないのか、公務員が過保護なのかわかりません。恣意的に公務員を解雇できないように慎重になるのはわかりますが、どんな職業の人でも飲酒運転は故意です。血中のアルコール濃度に差はあるかもしれませんが、飲酒運転の中には重いも軽いもなく、するかしないかです。ただでさえ、交通事故で年間4000人以上が亡くなっています。とても危険な「道具」を利便性と引き換えに使っていることを忘れているのでしょうか?

  

 私も飲酒運転を目撃したことがあります。何年か前に平日の夕方に駅へ行こうと歩いていたら、わき道から出てきた初老の男性が運転する原付がふらふらして転倒しました。ケガを心配するとともに、一応、整備士なので「駆動系がロックしたか?」「パンクしてバランスを崩したか?」「ブレーキに問題があったか?」「整備不良か?」それとも「体調が急に?」といろんなことを考えながら駆け寄りましたが、酒臭かったので警察に「どちらかと言えば事件です」と通報しました。お巡りさんが来るまで、暴れるのを抑えながら事情を聴くと近くのマンションで友人とお酒を飲んで帰るところだったそうです。

 悲しいですけど、もしかしたら、捕まったりバレたりしていないだけで、気軽な気持ちで飲んで運転している人も多いのかもしれませんね。

 

  最後に10年前の事故のことを。

 福岡海の中道大橋飲酒運転事故 - Wikipedia