ねじまき士クロニクル

日向の窓にあこがれて

途上国の電車事情?

 先進国と途上国を隔てているものはインフラ。それも鉄道だという気がしてなりません。私は自動車整備士ですが、自動車が存在しない方が国にとって有益な場合もあるかもしれないという気持ちがぬぐい切れません。

 私が生活している国では、日本のメーカーの車も多くが走っていますが、恐らくその多くがどこかの個人や会社が勝手に輸入した車両です。正規のディーラーは小規模な日産とトヨタヤマハくらいしかありません。とても国全体の自動車のアフターサービスをフォローするような体制にはなっていません。外国のメーカーも同じような状況です。黒煙、白煙、オイル漏れ…整備不良の車が大量に走っていますが、それでも生活のためにはそれを使用するしかありません。儲かるのは車を輸出入している人たち、GSなどを経営できるような財力を持つ人たち、そして消耗品を輸出入している人たち、つまり一部の人たちだけです。

 当然、途上国には車体本体はおろか、消耗品を作れる設備はありません。自動車に関する『すべて』が輸入品です。原油が自国から出ていても精製することができずガソリン価格は日本のような値段です。それでも鉄道がないために貨物も旅客も9割以上が自動車で運ばれています。自動車が普及すればするほど、自動車が走れば走るほど、外国にお金が流れている仕組みが出来上がっています。

 幸か不幸か、ここでは自動車は超高級品なので多くの人は買うことはできません。また高速道路などと言うインフラもありません。そして、地形が平坦で鉄道の建設に適しています。日本の鉄道の建設費は平坦な場所では1キロ当たり10~15億ということです。この国では用地買収の費用を都市以外は心配しなくていいためそれよりも安くなる可能性もあります…1000億円ほどあれば主要な都市間に建設して、海外に流れている富の流出を防ぐことができます。また鉄道の定時性の利便性を国民が理解すれば、時間の概念も変えることすらできる可能性があります。

 『インフラは人々の思考までを変えざるを得ない』とは『ローマ人の物語』に書いてあったような気がしますがまさにその通りです。一種の思考実験ですが、日本に新幹線が存在していなかったら?バスと飛行機しか交通手段がなかったら?もっと車社会になっていたかもしれません。 日本では車社会になる前に鉄道網がある程度完成していたことが幸いしたのかもしれません。

 一度、車に依存した社会になると公共交通機関に人を戻すのはかなり困難です…交通弱者しか使わない地方の鉄道の廃線を考えればわかりきったことです。

 

 この状況で恐ろしいことは、自動車メーカーが補助金ばらまいて進んでこの状況を推進しているわけではなく、いつの間にか出来上がった仕組みによって途上国の人々には自動車しかないという状況に置かれているということです。市井の人々には選択肢はありません。自動車メーカーにも利益追求以外の選択肢はありません。誰が途上国の電車を殺しているのか?ちょっと私にはわかりません。誰か教えてください。

 

 生まれ変わったら新幹線か広電の電車になりたいです。